「ダンケルク」米劇場で最大規模の70mmフィルム上映実施へ&国内3タイプのスポットや海外メイキング映像が公開








「ダンケルク」米劇場で最大規模の70mmフィルム上映実施へ


7月21日全米公開のクリストファー・ノーラン監督新作「ダンケルク」(日本公開は9月9日)。第二次世界大戦中の1940年にあった撤退作戦「ダンケルクの戦い」を描く作品でフランスの港町ダンケルクが舞台となる。公開されている公式によるあらすじをまとめてみた。

あらすじ
『ダークナイト』シリーズ、『インセプション』、『インターステラー』と、新作発表の度に、圧巻の映像で世界中を驚嘆させ続けてきたクリストファー・ノーラン監督待望の最新作。

第二次世界大戦中の1940年、860隻の船舶で、イギリス軍、フランス軍の兵士約40万人もの命を救った、史上最大の救出作戦「ダンケルク作戦」の実話を描くスペクタクル・サスペンス大作。

海の町ダンケルク。陸海空からの敵襲、計り知れず。惨敗の英仏軍40万、撤退を決断。若き兵士トミーは、絶体絶命の窮地から生き抜くことができるのか!? 民間船もが救助に乗り出し、エアフォースが空からの援護に駆る。爆撃される陸・海・空、3つの時間。走るか、潜むか。前か、後ろか。1秒ごとに神経が研ぎ澄まされていく。360°全方位から迫る究極の映像体験!


この新作映画「ダンケルク」を米ワーナー・ブラザースは米国内の125箇所の70mmフィルム対応劇場で上映される事を発表した。125箇所というのは過去25年における同フォーマットの上映では最大規模となる。Varietyが詳しく伝えている。

70mmフィルムまたは65mmフィルムは、幅の広い高解像度のフィルムの規格で明確でより絵画的な画を作り出すと考えている。しかしながら、劇場チェーンは安価なデジタル形式上映を好み、フィルム上映から撤退している。

ノ―ラン監督は家庭用機器を用いた映画提供の試みやデジタル映写も好んでいない映画においての伝統主義者で劇場における体験を支持している。常に映画を70mmフィルムで上映したいと考え、「ダンケルク」の大部分はIMAXの超高解像度の2Dフィルムカメラで撮影されたそうだ。

ノーラン監督は、「私はストーリーテリングのメディアとして長い間、特にIMAXフィルム・フォーマットの支持者となってきました」と語り、「実体験のように感じる映像のクオリティは最上のもので、可能な限りの強烈な方法で観客をアクションに引き込みます」と、続けた。

*日本にはIMAXフィルムをそのまま上映できる劇場がなく、IMAXデジタルシアターは70mmの専用フィルムによるIMAXシアターに解像感などで及ばない。フィルムからデジタルに変換する際に色あいや画質に変化が生じるため、監督が意図した色あいと画質で見れる劇場がないと「フォースの覚醒」の公開前に話題となった。

70mmフィルムは「1.43:1」と縦方向に長い映像で、これに合ったスクリーンが必要になる。一般的な映画館のスクリーンに70mmフィルムで撮影した映像を投影すると、映像の上下が切れた状態になってしまう。(詳しくはBuzz Plus & Dime.jp




3タイプのスポットとメイキング映像を公開


国内より陸・海・空と3タイプのWEBスポットが公開。海外からは悪天候下での撮影の様子を紹介する映像が公開された。先月にノーラン監督はこの映画に影響を与えた「11本の傑作映画」を発表。Eiga.comが伝えている。なぜこの11本なのかはTV Grooveがコメント本文を紹介している。映像や監督の言葉から、この映画が気になった方は日本公開まで日があるのでチェックしてみてはどうでしょう。








Eiga.comより
「皆さんは戦争映画のセレクションを期待するかもしれません。しかし、私は『ダンケルク』を生き残り(撤退)の物語としてアプローチすることを選択しました。ジェームズ・ジョーンズのエッセイ『Phony War Films』(イブニング・ポスト:1963年3月30日付、タイトルは『にせものの戦争映画』の意)を読めば、芝居がかった大仰な演出による映像で、現実世界の戦闘を見せることの危険性がすぐにわかるはずです。ジョーンズいわく『戦争が人間性を失わせる』と最初にして最高の手法で描いたのは『西部戦線異状なし』です。あの傑作をもう1度見れば、過剰な戦闘描写や恐怖の表現がよりすぐれていたとは言えなくなるはずです。私にとって、あの作品は、登場人物たちがそれぞれの運命における意義と論理を見つけ出すという、これまでの戦争映画の常とう表現に抵抗する力を示してくれるのです」と語っている。

ノーラン監督が「ダンケルク」に影響を受けたという11本の傑作映画は、下記の通り。

・「西部戦線異状なし」(1930年) ルイス・マイルストン監督
・「恐怖の報酬(1952)」(1952年) アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督
・「エイリアン」(1979年) リドリー・スコット監督
・「スピード」(1994年) ヤン・デ・ボン監督
・「アンストッパブル」(2010年) トニー・スコット監督
・「グリード」(1925年) エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督
・「サンライズ」(1928年) F・W・ムルナウ監督
・「ライアンの娘」(1970年) デビッド・リーン監督
・「アルジェの戦い」(1966年) ジッロ・ポンテコルボ監督
・「炎のランナー」(1981年) ヒュー・ハドソン監督
・「海外特派員」(1940年) アルフレッド・ヒッチコック監督



TV Grooveより
今回のセレクションは、2つの異なる、しかし重複するカテゴリーに分類できます。「恐怖の報酬」(1953年 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督)や「エイリアン」(1979年 リドリー・スコット監督)など、緊張感のある確立された古典的な作品から、より最近のハラハラドキドキする「スピード」(1994年 ヤン・デ・ボン監督)や、トニー・スコット最後の監督作品となった「アンストッパブル」(2010年)まで。この映画祭は観客の反応を物語へ導くサスペンスの技巧と手法を探求します。

その他のタイトルは、純粋に視覚的なストーリーテリングの可能性を探求するものです。エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督の「グリード」(1924年)やF・W・ムルナウ監督の「サンライズ」(1927年)などの美しいサイレント映画では文字通り”視覚的な”可能性を、そして「ライアンの娘」(1970年 デヴィッド・リーン監督)では、ぞっとするような吹きさらしの浜辺や砕ける波の場面が象徴する、映画に登場する映像の力がそれにあたります。

「アルジェの戦い」(1966年 ジッロ・ポンテコルヴォ監督)はキャラクターに感情移入せずにはいられない、時代を超越して影響を与えるドキュメンタリー・タッチの作品です。

映画を観ていると登場人物たちが直面する現実や勝算に夢中になるという単純な理由から、彼らに共感してしまうのです。ヒュー・ハドソンの「炎のランナー」(1981年)は、華麗な映像、複雑な物語、そして敢えて時代に逆行した音楽で英国の傑作となりました。

映画的なサスペンスや視覚的なストーリーテリングの探求はヒッチコックなくして完成しません。「海外特派員」(1940年)での飛行機が海に墜落する様を描いたヒッチコックの才能は、我々が「ダンケルク」で試みたことの多くにインスピレーションを与えてくれました。

これら全ての映画は、35ミリもしくは70ミリのフィルムで上映されます。素晴らしい映画を栄誉あるアナログの姿で鑑賞することができる貴重な機会を、皆さんに楽しんでもらえるよう願っています。


「ダンケルク」は9月9日、日本公開
監督・脚本・制作:クリストファー・ノーラン
出演:トム・ハーディ、マーク・ライアンス、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィー、ハリー・スタイルズ







Source: Variety, Eiga.com, TV Groove, Wikipedia